ディスレクシア(読字障害)


学習障害(LD:限局性学習症, SLD)の一種で、主に「読むこと」に困難が生じる障害です。
「読字障害」とも呼ばれ、日本では「失読症」「難読症」などの名称でも知られています。

ディスレクシアの子どもは知的発達に問題はないものの、文字を認識したり、読むことに大きな困難を抱えることがあります。



ディスレクシアの主な症状


① 文字が正しく見えない・認識しにくい


- 文字がかすんで見える

- 文字が揺れて見える

- **鏡文字(左右反転)**に見える(例:「b」と「d」・「3」と「Ɛ」を混同)

- 似た形の文字を見分けられない(例:「れ」と「わ」・「ロ」と「口」)



② 文章を読むのが難しい


- どこを読んでいるのか分からなくなる



- 行を飛ばしてしまう・同じ行を繰り返し読んでしまう



- 文章を目で追うのが苦手



- 文字を1つずつ読めても、文章として理解するのが難しい



③ 読むと体に負担がかかる


- 頭痛や目の疲れが起こる



- 読むのが遅く、長時間の読書が苦痛



- 上下逆に読んでしまうことがある



④ 読んでも内容が理解できない


- 文字は読めても、意味がつながらない



- 読んだ情報をすぐに忘れてしまう




ディスレクシアの原因と背景


ディスレクシアは、脳の情報処理の仕組みが通常と異なるために起こる障害と考えられています。
文字や単語を視覚で認識し、それを意味として処理する部分が通常とは違う働きをするため、読みづらさが生じます。

また、ディスレクシアは先天的な要因が強く、遺伝的な影響もあると言われています。

知的発達には問題がないため、適切なサポートがあれば学習を進めることができます。



ディスレクシアの対応方法


① 読む以外の方法を活用する


- 音声読み上げツール(スクリーンリーダー)を使う



- 文字を大きく・色を変える(黒背景に白文字のほうが読みやすい人もいる)



- 読み上げ機能付きの電子書籍を利用する



② 環境を工夫する


- フォントを変える(UDデジタル教科書体・OpenDyslexic など)



- 行間を広げる(詰まっていると読みづらい)



- 読みやすい配色に調整する(背景色を変えるなど)



③ 音読ではなく「耳で学ぶ」


- オーディオブック動画で学習する



- 先生や親が読み聞かせをする



④ 周囲の理解と支援


- 「努力不足」と誤解されないように、周囲の理解が重要



- 学校や家庭で、無理に音読を強制しない



- 読みやすい教材や学習方法を選ぶ




まとめ


ディスレクシアは、読むことに困難を抱える学習障害の一種ですが、知的な発達には問題がなく、適切な支援があれば学習は可能です。

読むことが苦手でも、音声を活用したり、文字の見え方を調整することで学習しやすくなるため、個々に合った方法でサポートすることが大切です

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